正しい日 間違えた日
監督:ホン・サンス
キャスト:チョン・ジェヨン、キム・ミニ
製作年:2015年
原題:지금은맞고그때는틀리다
★★★★☆
ううん!私がこの手の映画を高評価するのはめずらしいんだけど、なんだかとってもいい世界観だった!
以前このブログで、ホン・サンス作品の「よく知りもしないくせに」の記事を書いたんだけど、あれはダメだった~!
こういういの芸術映画っていうのかどうかわからないけど、基本的には「理屈っぽく」「台詞が多い」「淡々とした」のが特徴で、そこに引き込まれる世界観やキャストのハマり具合と演技力がなければ、とことん駄作と感じてしまう、いわば表裏一体なのである。
この映画は、偶然出会った男女のやりとりを2通りの見せ方で描くという、なんとも思い切った演出なんだけど、やっぱりキム・ミニがよかった!それとチョン・ジェヨンの演技も最高によかった。
二人の演技は、おおげさじゃなくとても自然だし、中年男の下心と揺れ動く女心を、本当に巧みに演じていると思う。
こういう映画は特にそうなんだけど、構成や台詞やあらすじじゃなく、やっぱり「世界観」が一番大事だと思う。
ジェヨンさん演じる映画監督は、公演のため水原を訪れる。手違いで1日早く行ってしまったために、暇をもてあまし、民俗村みたいな施設で、キム・ミニ演じる女性に出会う。
妻帯者だけど女癖がちょっと悪い映画監督は、彼女に一目ぼれしお茶に誘う。絵を描いているという彼女のアトリエで絵を見せてもらい、食事をしながらお酒を飲む。そこで意気投合した二人。でも、先輩のパーティーに参加するという彼女に誘われ、ついていくと…個性的な中年男女の集まりが。歓迎と辛らつな質問に辟易する映画監督。
そのあとが正しいバージョンと、間違いバージョンの分かれ道になる。結局、この中年男が、自分が妻帯者であることを、この2次会で流れの中しゃべったことに、彼女は腹をたて、そこで物別れに終わったのが失敗バージョン。
後編では、二人で飲む場面で、自分が妻と子供がいることを告げたうえで、好きになってしまった。と店の前で拾った指輪をプレゼントする。
同じく2次会に行くんだけど、イライラした気持ちのまま、服を脱いで全裸になってしまう。二人は2次会の店を出る。「江原道へ行かない?」と誘う監督のさそうぃ上手くかわし、結局帰宅する彼女。
その夜は別れ、次の公演に彼女は来てくれた。そして寒い中、最後に手袋をとって握手をしてくれた彼女。
この二人はどちらにしろ、たぶんもう二度と会うことはないだろう。
でも、小さな出会いと別れにも、ほんのちょっとした間違いと正しい言動で、素敵な出会いになる。
こんな地味なモチーフをこんな素敵な映画にするってすごいと思った。二人の酔っぱらい演技も秀逸です。
後で知ったんだけど…監督とキム・ミニさんは恋人同士だそうです。監督は離婚調停中。
なんかいいな!同じ世界観をもって同じ作品を、愛する人と一緒に作り上げるなんて、すごく羨ましい。こういう二人は、結婚しないほうがいい気もするな~
ちなみに…
ユ・ジュンサンさんも出てる!
この監督は割と気に入ってるのかな?
ううう…ん!映画っていいな~(どこかで聞いたセリフ)